同じ場所で命を落とす家族と犬
どんな伝承か
旧川辺町、いまの南九州市川辺町の国道二二五号でのこと。車にはねられて動かなくなった飼い犬を片づけていた五十五歳の会社員の男性が、通りかかった軽ワゴン車にはねられ、二時間ほどのちに亡くなった。現場は見通しのよい片側一車線の直線で、商店の前ながら街灯はなかった。犬は数年来飼っていた雑種のチビで、綱を外して遊ばせたまま戻らず、自宅から三百メートルほどの国道の中央付近で死んでいた。妻とふたりで引き取りに行っての事故だった。同じ場所では以前、男性の母親も墓参りの途中にはねられて亡くなり、その一週間ほど後にもう一匹の飼い犬が同じ場所でひかれて死んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。