名越トンネルで車と並走する老婆
どんな伝承か
鎌倉の名越には二つ続いたトンネルがあり、どちらも上に火葬場があって周りに寺の点在する寂しい場所にある。夜の十二時ごろ老婆の幽霊が出るといわれ、車で通り抜けようとすると老婆も車と並んで走り、窓に顔を押しつけてきたり、トンネルの上から血の雨が降ったりするが、トンネルを出ると姿は消えるという。五年ほど前にも、語り手の子どもの友人の友人が助手席に乗っていて、車と並んで走る老婆の顔を見たあと、正気を失ったと聞いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。