斗賀野トンネルの終列車の女
どんな伝承か
高知―須崎間の下り終列車が斗賀野駅を出てトンネルに入る頃、二十一、二歳の娘らしい女が腰を掛ける。その幽霊は、汽車がトンネルを出て吾桑駅に着くまでに消えてしまう、という噂があった。噂を確かめようと探検に出た記者は、最後尾の箱に乗った。斗賀野駅では降りる客が多く、記者一人を残して客は皆降りてしまった。トンネルの通過時間は六分。しかし何事も起こらないまま汽車はトンネルを出て吾桑駅に停車し、幽霊は出なかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。