花好きの婆の死に咲き乱れた花
どんな伝承か
大正十四年ごろの話。香川県高松市に、きくというお婆さんがいた。自分の畑の花だけでなく、近所の花の一つひとつにまで親切に手入れをするなど、花に対するいたわりは並の人ではできないほどであった。そのきくばあさんが亡くなったとき、どうしたことか、花がこれまでにないほど美しく咲き、季節はずれの花まで咲いたという。きくばあさんは、極楽の花園で今も元気に生き続けているのだ、という話が土地に残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。