叩く数で答えた三人の亡者
どんな伝承か
どのような順序で問答するか三人が額を集めて相談し、音のする時刻に近い一時に実行した。襟元から水を浴びせられるような心地がして全身の神経を耳に集めていると、やがて例のとおりトントンと叩く音がした。Bが、我々三名を脅かすのは狐狸の類なら三つ、霊ならば五つ叩けと叱りつけるように言うと、いつもより少し強く五つ叩いた。さらに恨みがあるなら四つ、弔ってほしければ七つと問うと七つ、男なら二つ女なら三つと問うと二つ、人数を問うと三つ叩いた。明後日僧侶を招いて弔うから今後は来るなと告げると、十五の数を正確に叩き、跡は森として音がなかった。
原典より
如何なる順序で問答しやうと、三人額を集めて相談する内に、其時刻に近き一時に行なつた。—— 幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
幽霊は語る(梶天真・1938年(昭和13年))
『幽霊は語る』は、梶天真が昭和十三年に編んだ幽霊譚と幽霊論の集成である。葬送の習俗や海外の霊魂観から説く幽霊思想、幻覚や網膜の作用による幽霊の説明、乃木大将や許斐大尉の見た幽霊などの実話、古典や伝説に現れる男女の幽霊・怨霊・生霊、幽霊写真、化物屋敷、霊界通信を集める。三篇に分かれ、第二篇は幽霊を男女・怨霊・生霊・小児の見た幽霊・食物に縁ある幽霊・前知らせなど八項に分類し、巻末を夕張と筑前の幽霊問答で結ぶ。