刀に手をかけられて逃げた人魂
どんな伝承か
人の魂は体を抜け出て歩き回るといわれる。昔、中村の御岳長さんが漆原からの帰り道を急いでいると、人魂が前になり後になりしてついてきた。長さんは、自分を脅かす気かと腹を立て、近づいたら斬ってやろうと山伏刀に手をかけて歩いた。すると人魂はある家の戸口のあたりで消えた。その家の中では人殺しと叫ぶ声がするので立ち寄って尋ねると、主人は、いま刀を持った男に追われてもう少しで殺されるところだった、と答えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。