九鬼子爵邸の降神術に現れた素盞鳴尊
どんな伝承か
『心霊と人生』に無無道人が書いた記事による。無無道人らが九鬼隆治子爵邸に集まった折、子爵は家伝の古代の降神の法を見せようと神室に席を移し、門下の女性を台人、自らを神招人として古法の型を行った。続いて一行が伴った神伝人で神懸りを試みると、予期に反して子爵家の遠祖天種子命のさらに高祖にあたる素盞鳴尊が現れ、艮の金神とは我がことで、その名をかたる奥山の禍津を退治せよと厳しく告げた。子爵が神慮に従うと答えると、尊は高笑いして雄叫びを上げた。大本教が艮の金神を強調したのは、綾部の鶴山に子爵家が祀っていた祖神の株を、出口王仁三郎が譲り受けたためだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談実話(田中貢太郎・河出文庫・1938年(昭和13年))
『日本怪談実話』は、田中貢太郎が昭和十三年に著した実話怪談集を河出文庫に収めたものである。明治以降に著者が聞き集めた怪異を報告調の短文で綴り、戦地の霊験や戦死者の知らせ、狐狸・天狗・海坊主、トンネルや自動車に現れる女、幽霊写真、狐狗狸などを扱う。元本は改造社刊の『新怪談集(実話篇)』で、冕言に始まって二百を超える小話を並べ、巻末に川奈まり子の解説を付す。