熱で夢に見た熊本城
どんな伝承か
福来友吉が集めた夢の報告の一つ。ある女学生は、風邪などで発熱すると決まって城の光景を夢に見た。物見櫓をはじめ周囲の景色が実際の城のように明瞭であった。当人は不思議とも思わず過ごしていたが、熊本に奉職する兄に招かれ、ある冬に熊本を訪ねた。翌朝、二階に登って熊本城を見ると、その光景は発熱時に夢に見る城と寸分違わなかった。初めて来たはずなのになぜかと父母に尋ねると、彼女が二歳、兄が七歳の時、両親は二歳の妹を連れて熊本に二年間赴任し、母や女中がしばしば二階から城を指して見せて遊んでいたという。二歳の時の熊本城の記憶が潜在記憶として残り、夢に現れたのだと解釈された。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
観念は生物なり(福来友吉・心霊・念写研究)
『観念は生物なり』は、福来友吉が著した心理学と心霊研究の論集である。観念と身体の関係、潜在精神と病気、夢、プランセット(自動書記)、狐憑病の伝染や尼寺のヒステリー、宮本武蔵の剣道などを論じ、明治四十三年以来十年間に接した御船千鶴子・長尾郁子・三田光一ら八人の通力者の透視と念写の実験を報告する。「観念と身体この関係」から「生命学と心霊研究」までの十四篇を収める。