鳥居前で見た一丈の装束の人物
どんな伝承か
明治二十六年六月、御穂神社の社務所で神憑りの大異変が起きたのと同じ夜の八時ごろ、三保村の若者がたまたま神社の鳥居の前を通りかかった。すると、背丈が一丈ほどもある髭面のいかめしい装束の人物が、拝殿から社務所のほうへ飛び出していくのが見え、若者は縮み上がった。御穂神社に化け物が出るという噂が立ったのはそれからだという。また同じ夜、沖に漁に出ていた漁師たちは、神社の高い松の木のてっぺんで火が燃えているのを遠くから見たと伝えられる。
原典より
またあの夜沖へ漁に出ていた漁夫たちは、御穂神社の高い松の木のてっぺんに火が燃えるのを望見したという。—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。