株を当てた太郎狐の仕返し
どんな伝承か
「神霊談義」の話者は、教え子平野文吾さんの体験を語る。平野さんは太郎狐という個人契約の稲荷霊から株価の予告夢を受け、指定の銘柄と金額が寸分違わず的中して大金を得た。ところが太郎狐へのお礼参りの代わりに、知人宇佐美景堂の勧めで伏見稲荷神社から改めて分霊を受けてしまったため、面目を潰された太郎狐が復讐を企てた。以前と同じ形式の夢告を信じて有り金とボーナス、妹の貯金まで注ぎ込んで指定株を買い込んだところ、その日は大暴落の当日で、平野さんは二千円もの大損を被ったという。
原典より
例の「何月何日、何々株、何十何円何十銭」の夢告をいささかも疑わずに、その指定株をできるだけたくさん買い込んだら、なんと、その日こそ大暴落の当日だった!—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。