花嫁姿が出る学生寮の一八号室
どんな伝承か
杉並区東荻町にある愛媛県出身の学生寮で、昭和三十二年四月の落成から一年ほどの間に六度も怪異が起きた。最初は新館一階のいちばん奥、十八号室である。入学したばかりの息子に付き添って上京した母親が泊まったところ、深夜に唸り声がして、駆けつけると布団の襟を握りしめて座っていた。花嫁衣装の若い娘が枕元にいたという。翌月、その部屋の最初の住人になった学生も、暗いはずの室内で白い顔の花嫁姿を見て悲鳴をあげ、翌朝には部屋替えを申し出た。騒ぎを解き明かそうと耳に綿を詰めて泊まった学生の前にも娘は現れ、以後も月末になると出たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。