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銃口の前で動かなくなる猿

所在地和歌山県西牟婁郡白浜町庄川小森
年代昭和
登場筒井功、南方熊楠、民俗研究者、「猴に関する伝説」の著者
出典村の奇譚 ― 里の遺風

どんな伝承か

白浜町庄川の小森に住む長谷瞬造さんは、林業や農業のかたわら猟を続けてきた。獲物は主に猪と鹿で、猿は有害鳥獣の駆除として年に一頭から三頭ほど捕る。昔は薬にも食用にもしたという。家には岩塩とともに瓶に詰めた乾いた猿の腿肉があり、削って水で薄め味噌汁に混ぜて飲むと腹痛がたちどころに治ると夫人は言う。南方熊楠は、猟師から猿が銃口の前で合掌して命乞いをすると聞いたと書き残しているが、長谷さんは、逃げ場を失った猿は手こそ合わせないものの、じっと動かずこちらを見つめるのだと語った。そのときは撃つのが嫌になる、と。

原典より

第8章 野生動物雑記カモシカは激増しているシカだらけの国道罠にかかったイノシシ人なつこいことも、あるらしいあのとき山中には何がいたか第9章 氷室と風穴を訪ねて—— 村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))

『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。

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