津堅島の後生山で亡骸の顔をのぞく風葬
どんな伝承か
沖縄学の伊波普猷は論文「南島古代の葬制」で、知人から聞いた津堅島の話を紹介している。知人がこの島の教員として赴任する十数年前まで、島では風葬が行われていた。人が死ぬと筵に包んで後生山と呼ぶ藪に置き、家族や親戚、友人は亡骸が腐って臭いを放つようになるまで毎日のように通っては顔をのぞいて帰った。若者が死ぬと、生前の遊び仲間の男女が毎晩のように酒肴や楽器を携えて訪れ、一人ずつ顔をのぞいたあと存分に踊って霊を慰めたという。風葬のため島では昔から犬を飼わなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
村の奇譚 ― 里の遺風(筒井功・民俗・地誌・2018年(平成30年))
『村の奇譚 ― 里の遺風』は、民俗研究者の筒井功が平成三十年に著した民俗探訪記である。修験の里の石室、石風呂と焼き石湯、山中の贋金づくり、箕作りの集団や天幕部落、岩窟に暮らした非定住民、猿と猟師、氷室と風穴、産屋、墓制、安倍晴明の墓、狐憑きと犬神など、各地の村に残る習俗と伝承を、聞き取りと文献の両面からたどる。全十三章で、昭和三十年前後の高知市での見聞から説き起こし、「おわりに」では別の出版社で刊行が見送られた経緯を記す。