口から小蛇を吐いて雀の巣を襲った蛇
どんな伝承か
讃岐の高松に林という所があり、林守の家には土蔵が二つ、三間ほど隔てて並んでいた。一方の窓の庇に雀が巣をかけたのを、太さ四寸余りの蛇が向かいの土蔵の屋根から狙って飛びかかったが、届かずに下へ落ちた。木を伝って屋根に戻っては飛びつき、昼夜十日ほど数十度繰り返すうち、見物人も集まった。ついに蛇は身命をなげうって飛びかかる勢いで口から小蛇を吐きかけ、自分は落ちてそのまま死んだ。小蛇は巣に這い込むとたちまち二、三尺の蛇となり、雀の卵を存分に呑んで出てきたので、人々は竹で叩き落として殺したという。安永年中に林守の隠居が若いころ見たと語った話である。
原典より
讃州高松に林という所があって、一帯が林山である。—— 講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。