すだれに首を突込んで死んだ蛇
どんな伝承か
山裾で草を刈っていた農夫が、研ぎ上げた鎌の先で、足元に出てきた蛇をうっかり切りつけてしまった。悪気はなかったのだから堪えてくれと詫びると、蛇は首のあたりから血を流しながら草むらへ消えた。その晩は蒸し暑く、男は戸障子を開け放したまま眠ったが、風もないのに軒の簾が一晩じゅう乾いた音を立て続けた。夜が明けて男は息をのむ。前日傷つけた蛇が、部屋へ入ろうとしたのか簾の隙間に首を差し込み、そのままぶら下がって死んでいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 9 (木霊・蛇)』は、松谷みよ子が全国の回答者から寄せられた報告と各地の民話集をもとに編んだ『現代民話考』の一巻である。明治から平成にかけて語られた、伐ろうとすると祟る木・泣く木・血を流す木などの木霊の話と、大蛇やつちのこ、蛇婿・蛇女房、主や守り神としての蛇、蛇と福運などの話を、話者や回答者の名とともに収める。第一章「木霊」と第二章「蛇」を主題ごとの節に分け、各話例の後に「分布」として類話の地名と出典を並べる。