寺の門前で呼ばれて引き返した爺さん
どんな伝承か
香川県の黒木島で伝えられた話である。ある爺さんが重い病にかかり、今にも息を引き取りそうになった。周りの者はもう死んだものと思っていたが、爺さんは急に息を吹き返し、やがて病も快くなった。後に爺さんが語るには、自分は寺の門の方へ歩いて行き、一歩足を踏み入れようとしたところ、誰かがひそひそと話しながら自分を呼んでいるような気がした。それであわてて引き返したが、それと同時に生き返ったのだという。
原典より
昭和五十七年二月から三月頃、同居している義母は、医者からもうだめだと言われた。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。