足利で目撃された丑の時参り
どんな伝承か
丑の時参りは、白い衣に乱れ髪、頭に逆さの五徳を載せて蝋燭をともし、胸に鏡を下げた女が、深夜の神社の杉木立で神木に藁人形を当てて五寸釘を打ちつける嫉妬の呪いである。話には伝わっても実際に目にした人は江戸時代にも少なかったらしく、滝沢馬琴の編んだ『兎園小説』の第十二集には、下野国の足利でこれを目の当たりにした人がいたことが特ダネとして載っている。その話を聞いた高橋庭麻呂は、女の燃える心を詠んだ長歌を寄せている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。