種油の恨みで憑いた乙家の狐
どんな伝承か
昭和二十六年二月の初め、隠岐の島後のある村で、甲家の主人が乙家で友人と酒を飲み、夜半に酔いつぶれた。こたつで横になっていたが気分が悪いと言い出し、突然「ここにもいる、あそこにもいる」と起き上がって騒ぎはじめた。狐が憑いたのではと問うと、乙家から来た狐だと答えた。何のわけで憑いたのかと話し合ううち、乙が甲家から種油を高値で買わされていたことがわかった。そこで甲が五十円ほど返すと、主人はけろりと治ってしまい、人々は不思議なことだと噂しあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。