減らない玉を残して去った嫁が淵の主
どんな伝承か
男の蛇が人の女に通う話が本筋である中で、女の蛇が人の男に通う稀な例として、飛騨国吉城郡の嫁が淵の主の話がある。正体を見あらわされて男と別れるとき、主はいくら使っても減ることのない玉を、男の家の形見として残していったという。この型では、人が竜蛇に化して湖沼の主となり、やがてまた人のもとへ通うという筋をたどるのが本来の形らしい、と筆者は述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。