山王の祟りに伏した道長の受戒
どんな伝承か
『小右記』によれば、藤原道長は長和元年の五月二十三日、受戒のために比叡山へ登った。下馬すべき場所に来ても関白太政大臣の身であるからと馬に乗ったまま進んだところ、どこからか石が飛んできて、夕立にも遭い散々な目にあう。やがて山王の護法が人の心を狂わせるのだという噂が立ち、六月に入ると病は重くなった。女と僧にそれぞれ山王が憑いて託宣し、祟りだと判じられる。諸国の社寺で読経も修法も陰陽師の祈禱も呪詛も参詣も試され、月末になってようやく道長は床を離れた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。