女の脛に落ちた久米仙人と久米寺
どんな伝承か
今は昔、大和国吉野郡の竜門寺で二人の者が籠って仙術を修業し、一人は業成って飛び去り、一人の久米は飛行中に吉野川のほとりで衣を洗う若い女の白い脛を見て情慾を起こし、その女の前へ落ちた。神通力を失った久米は女を妻として只の人になった。のち高市郡の都の造営に人夫として働いていたとき、行事官の戯れに応じて道場に籠り、身心を清め食を断って七日七夜祈ると、八日の朝、激しい雷雨ののちに大中小の材木が空を飛んで造営場に着いた。天皇は免田三十町を施し、久米はこれで伽藍を建てた。大和の久米寺がそれである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。