洗濯女に通力を失った久米の仙人
どんな伝承か
久米の仙人は千年の修行を積み、ついに宙を飛ぶ通力を得た。あるとき空を飛んで畝傍山の南にさしかかると、下の大きな深田池で年若い美女が洗濯をしており、股をあらわにしていた。仙人は胸を強く動かされ、慾望が湧いて天から降りて来た。馴れなれしく言い寄って女と親しい間柄となったが、翌朝ふたたび宙を飛ぼうとしたときには、もはや仙人ではなくただの人であった。どうしても通力は戻らず、そのままこの付近で一生を送ったという。久米寺には仙人の像と遺髪などが残されている。
原典より
久米寺に残る久米仙人の不思議な伝説―――仙人は千年の修行を積んでついに神の業を修得した。—— 日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。