七つの玉に糸を通した中将を祀る社
どんな伝承か
小村にある丹生川上神社の中社は、もとは蟻通明神と呼ばれていた。昔、中国が日本を従えようとして、曲がりくねった細い穴を持つ七つの玉を送り、これに縄を通して一連にせよと難題を持ちかけた。朝廷では知恵が出なかったが、ある中将が穴の一方に蜜を塗り、もう一方から糸を結んだ蟻を入れると、蟻は蜜の香に誘われて穴を通り抜けた。その糸に縄をつないで引き、みごとに通してみせた。次に、本も末も同じ太さの大木の元と先を見分けよと迫られると、中将は木を川へ流し、川下になった方が本だと答えさせた。中国は日本にも知恵者がいると知って攻めてこなかった。この中将を祀ったのがこの社だという。
原典より
小村にある丹生川上神社中の社は、もと蟻通明神といった。—— 日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。