鹿の落ち角を舐め溶かすヒキガエル
どんな伝承か
屋久島は人口二万、猿二万、鹿二万といわれるほど猿と鹿の多い島で、鹿はおよそ四千頭いると見られている。ところが不思議なことに、自然に抜け落ちた角、いわゆる落ち角が見つかることはめったにない。角は毎年生え替わるのだから、山の中に転がっていておかしくないはずである。理由は島のヒキガエルにあった。ヒキガエルは落ち角に群がって舐め続け、唾液で溶かしてしまうのだという。途中まで舐められ、のっぺらぼうになった角が見つかったこともあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の怪奇-日本列島のミステリー地帯(鈴江淳也・1970年(昭和45年))
『現代の怪奇――日本列島のミステリー地帯』は、鈴江淳也が前著『日本の奇談』に続けてまとめた、現代の超常現象と奇談のレポートである。桑名の「天狗の初さん」、新幹線の亡霊、京都のタクシーに乗る幽霊客、人魂、原因の知れない奇病、念写と三田光一の透視などを、著者の取材・面談と、大正の新聞から昭和四十年代の週刊誌までの記事で集めて収める。五つの部に分け、あとがきは昭和四十五年三月の日付で、巻末に機関誌などを入手できる団体・研究家の一覧を付す。