馬屋の肥で埋められた段の坂の湯
どんな伝承か
昔、段の坂に温泉が湧き出ていた。大川のあたりに湯が出るのを段の坂の茶屋のおはる婆やが見つけ、倉村の世話役所に伝えたところ、湯など出ると風俗が堕落して村が貧乏するからもってのほかだとして、その湯口は馬屋の肥で埋められてしまった。その後の洪水で跡も分からなくなったが、汚物で閉じられた湯脈は臭くて出るに出られず、尾根伝いに遠く甲子温泉へ移ったのだと伝えられる。温泉に見捨てられても段の坂の茶屋は連綿と繁昌し、明治十六年に三島通庸の道路開削で土工が大勢乗り込んでいたころは、おきそ婆やが営んでいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史・自治体史(民俗))
福島県南会津郡『下郷町史 第5巻(民俗編)』所収の伝説。会津・下郷町に伝わる自然伝説・歴史伝説・信仰伝説を収録する。