金砂神社の舞殿に現れた水抜の男
どんな伝承か
水抜では秋の取り入れが終わると、毎年会津萱手となって常陸国へ出稼ぎに行くのが株になっていた。ある年、出稼ぎ先である久慈郡天下野村の金砂神社の大祭に参詣したところ、何と水抜のおやかっつあまである常三郎が、神殿の舞楽殿の上で猿田彦命に変身し、雅楽に乗って厳かに、軽やかに舞っているではないか。確かに佐々木家の厳父に間違いなかった。後で分かったことには、この金砂神社の大祭神事は六十年還暦の庚申の年ごとに一度行われる定めで、その年がめぐってくると、昔ははるばる神鹿が常陸国から水抜の佐々木家まで迎えに来ていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。