大金を守った桜木渕のオロチ
どんな伝承か
天明年間、枝松村に越後生まれの筏師で己作という渡世人が寄留していた。博打は打つが村人の世話をよくみる善良な男で、川魚は筏乗りを守る水神の使いだからと自分では決して殺さず、生まれ年の蛇をとりわけいたわり尊んでいた。あるとき湯本温泉の賭場で大もうけをした帰り、酔いつぶれて桜木渕の鶴沼川岸の桜の下で寝込んだ。目覚めて家へ帰ってから大金の包みがないのに気づき、二、三日静養してから渕へ行ってみると、風呂敷はもとのまま固く結ばれ、岸の草むらに隠されたように残っていた。渕に棲む水神の使いのオロチが守っていたのだろうと村人らは語り合ったという。
原典より
天明年間枝松村に越後生まれの筏師で、己作という渡世人が寄留していた。—— 下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。