糯米の願いを叶えた金の鰐口
どんな伝承か
小野の観音は昔の朝日長者が建立したという霊験あらたかな十一面観世音菩薩である。昔、石川の牧村に広允という大金持ちがいたが、この村では良い糯米が穫れないので、まじめな願いごとなら聞き届けてくれると耳にし、康暦三年の如月に金の鰐口を奉納して、粳米を糯米に変えてほしいと一七日の願をかけた。満願の朝、どこからともなく一片の紙が風に吹かれて舞い下り、苗代を替えろと書かれていた。その通りにするとその秋からうまい糯米が穫れたという。鰐口は後に悪者が金の一部を盗もうと裏面半分を割ったが、観音が怒って黄金を鍍金に変えてしまい、盗人はくたびれもうけに終わった。
原典より
小野の観音様は、昔の朝日長者が建立した霊験あらたかな十一面観世音菩薩である。—— 下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説(下郷町(編)・下郷町史)
『下郷町史 第5巻(民俗編)――伝説』は、会津の下郷町の町史民俗編のうち、町内の伝説を集めた第二節である。鏡沼の大蛇や二岐山のダイタンボウ、狼に食われた祖母、湯野上温泉猿湯の由来、高倉宮以仁王と桜木姫・紅梅御前の落人伝説、伊達政宗の戦の悲話、小野の長者と小野観音の金の鰐口などを収める。伝説を自然伝説・歴史伝説・信仰伝説に分け、各話に地名や供養塔・墓・文化財の現状を書き添えている。