争議のさなかも子の頭をかませる大蛇山
どんな伝承か
空前の大争議とよばれた九州三池炭礦のストライキのさなかも、大牟田市では南筑地方恒例の夏祭りである祇園祭が行われ、「大蛇山」が街々を練り歩いた。この大蛇に幼児の頭をかませると無病息災で育つといい、幼児を抱いた母親たちは真剣に大蛇山の後を追った。ストライキで石を投げ、ピケを張り、スクラムを組んでインターナショナルや赤旗の歌をうたった、そのおなじ母親たちであった。俗信と生活が入り混じる現代の姿である。
原典より
この大蛇に幼児の頭をかませると無病息災で育つといって、幼児を抱いた母親たちは真剣に大蛇山の後を追う・・・・・・。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。