ハンの木の花で豊凶を占う
どんな伝承か
前兆予知のなかでもっとも多いのは、ふだんの暮らしのなかで天然現象の推移や変化を注意ぶかく観測し、それによって未来のできごとを予知しようとする知識である。植物の例では『竹笹に花が咲くのは田畑の作物が凶作の前兆』というのが全国一般に伝わる。そのひとつとして、栃木県芳賀郡ではハンの木の花が例年よりはやく咲くと豊作になるといわれた。ほかにも三重県稲生町のサトイモ、長野県更埴市のアンズなど、花の咲きようで作物の豊凶を占う俗信が各地にあり、文字暦が普及するまでは、こうした自然の推移をめやすに農林漁業の段取りをつけていた生活史のあとを示している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。