地中からかねの音
どんな伝承か
昔の越後街道は若松から高久・中ノ目・佐野を経て村田に出た。村田と長畑の間の道ばたには小壇があり、一本杉が天を突くように茂っていた。むかし越後から来た一人の旅僧が、若松の城下から帰る途中、村はずれの茶屋に泊まって何日も寝込んでしまった。介抱を受けて少し快方に向かった僧は、寿命はここで尽きるらしい、皆の幸福を祈りつつ世を去りたいから村はずれに生きたまま埋めてくれと頼んだ。村人は立て棺に入れ、節を抜いた竹筒を地上に出して埋めた。毎日竹筒に耳を当てると、地下からかすかに経の声とかねの音が聞こえた。二十一日を過ぎると声は絶え、村人はその地に壇を築いて杉を一本植えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。