義家の乗馬が残した足形石
どんな伝承か
南昌山の麓に四、五軒の部落があり、そこに馬の足形石という自然石が立っている。これは八幡太郎が合戦のときに乗った馬の足跡がついているのだという。もう一方の石には馬の肩の跡がついているが、それも同じ人の乗馬のものだと称している。また同郡乙部村大字黒川の高陣という丘の上には、三丈ばかりの高さの大きな自然石があり、その上にも馬蹄の形がついている。これは源義家が貞任征伐の折にこの石の上へ登って全軍を指揮したためであると伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
農民俚譚(佐々木喜善(著)・本山桂川(編)・佐々木喜善・東北民俗・1934年(昭和9年))
『農民俚譚』は、佐々木喜善が書きためた昔話や伝説を、その没後に本山桂川が編んで昭和九年に刊行した本である。陸中の和賀郡・岩手郡・胆沢郡で集めた炭焼長者や瘤取爺などの昔話に、河童・山男・山女・人柱・蛇にまつわる伝説、地蔵の話、異類に嫁ぐ女の話を記した「縁女綺聞」、紫波郡の口碑による「鳥蟲木石伝」などを収める。郡ごとの昔話には大正十三年の日付の前書きが付き、巻末に本山桂川の追想「佐佐木喜善君の遺業と其晩年」を置く。