三途の川の辻で渡される通行札
どんな伝承か
大正十年頃、胆沢郡で聞いた話。ある男が三途の川を渡ってしばらく行くと、道が左右に分かれる辻に出た。そこには通行札を配る場所があり、男が受け取った札には地獄行と記されていた。すぐ後ろに来た亡者の札は極楽行だったので、男はすばやく札を入れ替え、右の道を行こうとした。すると恐ろしい声で間違っているとどなりつけられ、力ずくで押し戻されて左の地獄行きの道へ回される。何度試みても右へは進めない。苦しさのあまり叫んだところで体を揺り動かされ、汗みずくで目を覚ました。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。