湯田川の旅籠を過ぎる亡者の列
どんな伝承か
庄内の湯田川の旅籠に、新庄の喜三郎という男が泊まった。日暮れから雨となり、往来は絶えた。客は喜三郎ひとりで、主人に誘われて囲炉裏を囲み盃を重ねていると、表でガヤガヤと話し声がした。この旅籠から先は出羽三山へ行くばかりで人家はないのだが、と主人は首をかしげる。声は立ち寄らずに通り過ぎ、表へ出ても誰もいなかった。翌晩も、表からガラガラと車の軋む音と女の泣き声がした。客は静かに、あの話し声は亡者が出羽三山へ行くのだ、車の音は亡者を乗せようと曳く音、女の泣き声は今通るという合図だと言い、宿賃を払って声の後を追って去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承