安丹橋に立つ洋装の美女
どんな伝承か
山形県鶴岡市内のハイヤー運転手のあいだで、時ならぬ幽霊話が持ちきりになった。深夜、鶴岡と大山を結ぶ県道を走り、安丹橋付近に差しかかると、三十歳ぐらいの洋装の美しい女が道端に立って手を上げる。乗せてくださいと言うので、どちらまでですかと尋ねると、そのまま車の後ろへ回るようにして姿が消えてしまうという。出会ったという運転手は二人や三人にとどまらない。昭和四十三年の東京新聞が伝えた記事である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。