栓をした空瓶に満ちる霊水
どんな伝承か
山形県西田川郡稲生村の長南年恵は、物品引寄せの霊媒として名高かった。幼いころから物欲がなく信仰があつかったという。明治三十二年ごろから神がかりするようになり、二年ものあいだ飲み食いを断ち、大小便も月のものもなかった。家は病気治しや占いを頼む人で賑わい、空に気高い音楽が響いたり、護符が降ってきたりした。依頼者は名を書いた空瓶を持参し、年恵はそれを栓をしたまま三宝に載せて神前へ供える。祈り始めて十分ほどで、居合わせた者の前で瓶に一斉に霊水が満ちた。色は病に応じて違ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の世界 ― 心霊科学入門(板谷樹・宮沢虎雄・1971年(昭和46年))
『霊魂の世界――心霊科学入門』は、板谷樹と宮沢虎雄が昭和四十六年に著した心霊科学の入門書である。古代の霊魂観や内外の幽霊の記録に始まり、ハイズビル事件と英米の心霊研究学会の創立、霊視・霊言などの精神的現象、物質化や心霊写真などの物理的現象、心霊治療、死と再生までを、日本心霊科学協会での実験や勝五郎再生の現地調査を交えて述べる。全十二章からなり、昭和四十二年に徳間書店から出た同題の本に筆を加え、同協会が自費出版したものである。