着物について来た小さな化け物
どんな伝承か
股のぞきは蚤か虱のように体の小さな化け物で、いつも寝ている女の股を覗いて歩き、覗いた女を自慢し合うのだという。京都の商人の着物について鶴岡にやってきた股のぞきは帝の女后の股の話をし、江戸から馬の尻尾についてきた股のぞきは将軍の妾の股の話をした。商人の着物についてきたものは、女后の股から入って鼻へ抜けたと言い、馬の尻尾についてきたものは、妾の股はとても臭くて鼻がおかしくなったと言った。この股のぞきたちが集まるのは夏だそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・1974年(昭和49年))
『東北怪談の旅』は、山田野理夫が昭和四十九年に編んだ東北地方の怪談集である。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の六県に伝わる妖怪や幽霊の話、飢饉と間引にまつわる話、江戸時代の奇談などを、一番から一六三番までの短い話として収める。各話の末尾に県名を記し、恐山や飢饉の記録にふれて東北の怪談と怨念を結びつけるまえがきと、怪談観や霊能者をめぐる回想を記したあとがきを付す。