股のぞきで見える不時沼の蜃気楼
どんな伝承か
鏡沼の西一キロメートルほどの所に、化粧が原という原がある。昔、和田平太胤長の妻が夫に会うため鎌倉から下り、この地で鏡を出して髪を梳り、姿を整えたことからその名がついたという。原の中には不時沼という所があり、ふだんは草が茫々と生えているが、梅雨の頃に長雨が続くと水が溜まって沼となり、時には草原となり、また沼となるので不時沼と名づけられた。雨上がりのよく晴れ渡った日、沼のほとりで背を曲げ、股の下から覗くと、はるか彼方に大海原の波が立つのが見え、大勢の人が往来する姿が蜃気楼となって見えたといわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鏡石町史 第4巻 民俗編(現代(町史民俗編))
福島県鏡石町の昔話と伝説。孤山の狐に化かされ一晩中桑畑をめぐらされた話、伐ると病気になる愛宕様の楓、大風に枝がすれ合い二晩燃えた太子の杉、股下から覗くと蜃気楼が見える不時沼、乳を授ける乳石大明神、伊勢参り姿で代掻きを手伝った鼻取り地蔵、病魔を退散させる宝泉院の大般若経、馬を落とす大日碑、石の根を掘った祟りなど、神木・霊石・地蔵の霊験と祟りを収める町史民俗編。