蛤が気を吐くという魚津の蜃気楼
どんな伝承か
肥後の不知火や越中の蜃気楼について、民間ではいろいろなこじつけがされているが、とくに害も利もないと著者は言う。越中の魚津は蜃気楼の名所で、毎年四、五月ごろに現れるそうだ。昔から蛤が気を吐き出してあの姿を作るのだという迷信があるものの、蜃気楼が出ると災いが起こるとか、飢饉の前触れだとか言う者はおらず、土地では平穏に受けとめられているという。
原典より
また越中の魚津は蜃気楼の名所にて、毎年四五月頃に現出するそうだが、古来蛤が気を吹き出すのであるなどの迷信あれども、…—— 迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
迷信の諸相・宗教の真相(井上円了・1916年(大正5年))
『迷信の諸相・宗教の真相』は、井上円了が大正五年に刊行した『迷信と宗教』を、新しい題を付け現代の表記に改めて翻刻した本である。琉球・伊豆七島・壱岐対馬から北海道まで、著者が各地を巡回して見聞した犬神・人狐・河童・狐憑きなどの迷信と、怪火・天狗・幽霊・鬼門・卜筮・家相・禁厭など全国共通の迷信を挙げる。迷信の利害と原因を論じたのち宗教の真相を説き、余論に妖怪学の短編、附録に幽霊鬼神と霊魂不滅をめぐる論を収める。