石の根を掘って狂った男
どんな伝承か
成田ムラに、南を向いた三体の阿弥陀がある。中央と左の石には阿弥陀の像が彫られ、右の石には梵字が書かれている。昔、道前という尼が庵を結んでここに住み、毎日、南六百メートルほどの牛骨という清水から水を汲んできて供えていたという。今から百何十年か前、近くの清兵衛という者が、この碑は自然石だから根を掘ってみようとし、二メートル掘っても石の根は見えず、ついに力尽きて断念した。ところがその夜からにわかに気分が悪くなり、狂ったようになった。家族がミコさまに伺うと、それは石の根を掘った祟りだという。驚いて非を悔い、一心に信心したところ、やがて狂った心は癒えたと語り伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鏡石町史 第4巻 民俗編
『鏡石町史 第4巻 民俗編』は、鏡石町の町史のうち民俗を扱う巻である。第十一章「昔話と伝説」では、笠石・細谷・成田・久来石などのムラに伝わる木や坂・峠・祠堂・石にまつわる伝説を集め、伐ろうとした者が病んだ愛宕様の楓、鼻取り地蔵、和田平太胤長の妻にちなむ化粧が原などの由来を記す。伝説は木の部・坂峠山の部・由来譚・祠堂の部・石岩の部に分けて番号を付し、各話の末尾に話者名か『白河風土記』などの典拠を添える。