龍王山の温石と生馬草
どんな伝承か
かつて小原村と松江村(今の沼田西町)の境にそびえる龍王山の中には、黒みを帯びた温石という石と、生馬草という草があったという。腹や足の痛みに悩む人は温石を借りてきて、よく温めてから木綿の布にくるみ、痛む所に当てるのが習わしだった。その効き目はめざましく、痛みはたちまち引いたと伝わる。ただし温石をしばらく使う間は、元あった場所に身代わりの石を必ず供えておかなければならないとされた。生馬草は名前どおり牛馬のための薬草で、牛や馬が病んで苦しむと、この草を食べさせて回復を願ったという。
原典より
ただし、そうしてしばらく温石を用いるときは、それがあった場所に必ず代りの石を供え置かねばならないとされた。—— 三原市史 第7巻 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
三原市史 第7巻 民俗編
『三原市史 第7巻 民俗編』は、三原市の市史の民俗編のうち「三 伝説」の節だけを収めた部分で、番号を付けた十二の伝説から成る。糸崎八幡宮の神馬を祀った馬神塚、夜泣きの松、福島正則の命で伐られた大楠、山ん婆の足跡、蛇のヤムシロ、餅を搗かない家、干拓の人柱となった甚五郎など、市内各地の伝説を収める。各話の末尾に「書出帳」『三原志稿』『三原昔話』『沼田地方の伝説』や土地の伝承など、拠った資料を記す。