夜泣きを治す下り松
どんな伝承か
潮見坂を下りて糸崎八幡宮へ向かう道の左手に、大きな松の老木が今も残る。神功皇后が御船をつないだと伝わる下り松である。この松は、赤子の夜泣き癖を治してくれる霊木として広く信仰を集めた。夜泣きに悩む親が願を掛けて松の枝や根をもらい、火をともして赤子に見せると、その夜から泣き癖が収まるという。実際にご利益を得た京都の岩倉家や薩摩の島津侯から、お礼の額や絵馬が奉納されたとまで伝えられる。なお滝宮の境内にも、夜泣き松と呼ばれ同じ霊験があるとされた松の木があった。
原典より
この松は、嬰児の夜泣き癖をなおすとして、広く信仰をあつめた霊木であった。—— 三原市史 第7巻 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
三原市史 第7巻 民俗編
『三原市史 第7巻 民俗編』は、三原市の市史の民俗編のうち「三 伝説」の節だけを収めた部分で、番号を付けた十二の伝説から成る。糸崎八幡宮の神馬を祀った馬神塚、夜泣きの松、福島正則の命で伐られた大楠、山ん婆の足跡、蛇のヤムシロ、餅を搗かない家、干拓の人柱となった甚五郎など、市内各地の伝説を収める。各話の末尾に「書出帳」『三原志稿』『三原昔話』『沼田地方の伝説』や土地の伝承など、拠った資料を記す。