霊木の槻から刻んだ三体の馬頭観音
どんな伝承か
大槻の斧切沢には弘法大師の伝承が伝わる。大師がこの地を巡遊した折、大沢で光り輝く大きな槻の木を見つけた。これは霊木であるとして、大師はさっそく槻の木を切り、三体の馬頭観音を刻んだ。二体は湯本と竜生の馬頭観音となり、残る一体は南会津の長江村の小野、いまの下郷町の馬頭観音になったという。大師が馬頭観音を刻んだことから、槻の木が見つかった沢を斧切沢と呼ぶようになったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。