吉野川の渡し場で拾った大黒石
どんな伝承か
昭和九年十一月、牧野元次郎は四国を巡った。琴平から高知への道は吉野川の深い淵に沿う険しい道だと忠告され、牧野は初めて旅に災難除けの三徳の小槌を携えたところ、行き帰りとも無事だった。帰りに穴吹の渡し場で向こう岸からの船を待つあいだ、吉野川の澄んだ流れに何気なく手を入れて石を一つ拾うと、それは大黒さまの姿そっくりだった。手のひらに載せると立ち、二俵の上に立つ姿に顔も袋も小槌も備わっていた。牧野はこれを持ち帰って安置し、大黒さまとの縁の深さを喜んだという。
原典より
見ると、不思議にも、これが大黒さまのお姿ソックリなんです。—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。