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床下に狸を飼い村の秘事を知る住職

所在地徳島県美馬市穴吹町三島舞中島(光泉寺)
年代三四十年前(明治期)
登場井上某、蘆原里見、光泉寺の住職
出典阿波の狸の話

どんな伝承か

美馬郡三島村舞中島の光泉寺は枝垂れ桜の名所として知られる。三、四十年前、この寺の住職蘆原里見は学識にすぐれ、声明では阿波一と称された僧だったが、居間の床下に何匹もの狸を飼い、揚げ板から飯や油揚げを落として与えていた。住職は村で起きたことを、夫婦喧嘩の中身までその晩のうちに知っており、狸に探らせているのだと言われた。寺に通う井上某はある夜、途中で右肩を何かに突かれてよろけた。寺に着くと住職に狸を肩に載せて来たなと言われ、急に肩が軽くなった。帰りぎわ夜這いはほどほどにと釘を刺されたが、構わず後家の家へ向かうと四つ辻で道がわからなくなり、寺へ戻ると住職は笑っていたという。

原典より

美馬郡三島村大字舞中島村の光泉寺は、枝垂櫻の名所として有名で、春の花時には花見の客の絶えない所であるが、今から三四十年ばかり前、この寺に蘆原里見といふ住職がゐた。—— 阿波の狸の話(笠井) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

阿波の狸の話(笠井)

『阿波の狸の話』は、脇町の笠井という著者が、阿波国の各地に伝わる狸の話を集めて書いた本である。狸同士の化かし合い、狸使い、狸憑き、狸医者、狸を祀る祠などを題ごとに分け、郡村名や人名を挙げて、明治・大正の狸憑きの実話やお六つ大明神の信仰の様子も記す。後半に余材追録と、著者が萬福寺で狸に憑かれる人や住職と問答した記録を置き、巻末の「阿波名狸録」で名のある狸を徳島市と各郡の部に分けて並べる。

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