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踊りから戻ってきた緋縮緬の打掛

所在地徳島県美馬市木屋平
年代幕末
登場民衆、記録者
出典阿波えゝぢやないか

どんな伝承か

家族揃って昼飯をしたためているとき、玄関でどさっと物の落ちた音がした。落ちるようなものは置いていないはずだがと主人が立って行き、戻ると手に紅の燃えるような着類を持っていた。広げてみるとそれは緋縮緬の袿衣で、幾らか着崩れているほかは破れも綻びもない。上さんは、二十日ほど前の踊り込みのときから見えないと思っていたら誰かが着て行ったのだと喜んだ。踊りが済んで不用になったので袿衣に脚が生えて戻ったのだろうと二人は思った。後で聞くと、隣家にも同じ日の同じ時刻に、ねんねこ絆天が窓から放り込まれていたという。

原典より

家族揃つて午飯をしたためてゐる時だつた。—— 阿波えゝぢやないか(山口吉一・民俗・幕末世相史・1931年(昭和6年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

阿波えゝぢやないか(山口吉一・民俗・幕末世相史・1931年(昭和6年))

『阿波えゝぢやないか』は、山口吉一が一九三一年に著した、幕末の「ええぢゃないか」騒動の記録である。慶応三年の暮れに阿波で起きたお札降りと踊りの騒ぎを、県内の古老五十余人からの聞き書きと郡村史誌などの記録によって、起因・神異・服装・歌謡・禁忌などの面からたどる。徳島日々新報への連載をまとめたもので、概観篇・詳述篇・挿話篇・補遺篇から成り、鳥居龍蔵の序、話者の古老の一覧、太田明の「御下り踊私考」を付す。

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