目を洗えば治る目薬沼の霊水
どんな伝承か
広瀬神社の境内には婆沼と目薬沼がある。昔この婆沼から老婆が出現したといわれる。その老婆は、境内に茂っていた笹竹の葉先で目を突き、大そう難儀していた。ところがある夜の夢に、日ごろ信心している四十八か瀬権現が社殿の前の小さな沼から現れ、この沼の水で目を洗えば必ず治るとお告げがあった。翌朝早く、その沼の水で洗眼したところ、失明寸前の視力が元通りになり、老婆は馬沼から出た白馬の飼育にあたったと言い伝えられている。それ以来、神社内の笹はもとより家敷内の笹も大事にし、端午の節供のササ巻などに用いた。今でも一升瓶に沼の水を詰めて持ち帰る人が見うけられる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。