十五夜の月が三日月になった小餅
どんな伝承か
年の暮れに檀家から小餅をたくさんもらっても、けちな和尚は小僧に食べさせず奥に隠していた。檀家の寄合いに小僧を供に連れて行くとき、和尚は昼食に小餅を一つ持たせ、人前で餅を出せとは言いにくいから、十五夜の月はと言ったら餅を出せと合図を決めた。いざその時になって和尚が合図をかけると、餅をこっそり半分以上食べていた小僧は、袂から欠けた餅を取り出し、雲隠れしてここに三日月と答えてのけたという。
原典より
声に応じて袂から小餅を取出し、雲隠れして茲に三ヶ月と言ってのけた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。