観音堂で見た油採りの夢
どんな伝承か
怠け者の男が、甘い物を食って遊んで暮らしたいと観音に願をかけ、七日七夜の籠りをした。満願の前夜、観音が夢枕に立って願を聞き届けると告げた。男は船で島へ渡り、鉄の門と鉄の塀を巡らせた大きな館へ迎え入れられ、山海の珍味でもてなされた。ある夜、隣室で人の唸き声がするので覗くと、男が桁から逆さに吊るされ、その下に炭火が熾されていた。恐ろしくなって逃げ出し、俵の中に隠れて追手をやり過ごした――と思ったところで夢から覚め、籠っていた観音堂の高縁から転げ落ちたところであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。