雨と引き換えに沼の主へ嫁いだ娘
どんな伝承か
ある山里に美しい一人娘を持つ爺がいた。前田千刈後田千刈の田を持っていたが、日照りが続いて苗が枯れて行くので、沼の主に、田に水を引いてくれたら娘を嫁にやると願をかけた。するとその晩から自分の田にばかり大雨が降り、水が湛えられた。爺は一方で喜び一方で悲しみ、娘に訳を話すと、平素から親孝行な娘は承知した。やがて立派な若侍が傘をさして、約束の娘を貰いに参ったと言って来た。娘は瓢箪千個と小刀千丁を持ち、山奥の大沼のほとりへ連れて行かれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。